大久保嘉人 3年連続得点王の秘訣

大久保嘉人

大久保嘉人 Jリーグ史上初3年連続得点王

Jリーグ史上初となる3年連続の得点王に輝いた、川崎フロンターレの大久保嘉人

たまたま1シーズンではなく、3年連続でこれだけの結果を残すことは、運や偶然では片付けられない。コンスタントにゴールを取り続けた、その秘訣はどこにあるのか? 対談の中で、大久保嘉人は次のように語っている。

「川崎フロンターレに来て、練習が終わってシュート練習っていうのは毎日するから、それは一番おっきいかな」

シンプルだが、シュート練習を欠かさないこと。日本代表やリーガエスパニョーラ、ブンデスリーガでも活躍したストライカーは、やはり地道な努力を怠らない。33歳になった今も、チームの練習後、必ずシュート練習をやっているそうだ。

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「なんでかっていうと、試合での不安があるから。大丈夫かな~、点入るかな~とか、思ってしまうから、それでシュート練習すると、その不安が解ける。自信を持って試合に挑める」

今シーズン、大久保嘉人が決めた23得点には、その練習の軌跡が感じられる。

最も多い得点パターンは、対角線に打つ右足のクロスファイヤー。23得点のうち6得点は、ゴール右の斜めの角度から、右足のシュートをズドンと決めた。そのすべてが正確無比に、ファーサイドネットへ突き刺さっている。最終節のベガルタ仙台戦で決めた決勝ゴールも、この形だった。同じ角度から同じコースへ、これだけ打ち込めるのは、たゆまぬ努力のなせる技に他ならない。

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それに並び、多く見られる形は、クロスに走り込んで近距離からワンタッチで押し込むパターン。これも6得点を挙げている。クロスといっても、川崎の場合はほぼパスのような折り返しが多いが、ゴール前に顔を出し続ける大久保嘉人でなければ、これだけの得点は挙げられない。

セカンドステージはひとつもなかったが、ファーストステージでは、ヘディングでも4得点を挙げた。(うち1本は直接決まらず、自らこぼれ球を押し込んだ)。大久保嘉人は、頭でもよく決める。

意外に少ないのが、左足のゴール。

ファーストステージ第17節の鹿島アントラーズ戦でクロスを押し込んだのが左足、あとはセカンドステージ第8節の湘南ベルマーレ戦の1点くらいだ。

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得点パターンは右足に偏っているが、その右足のシュートも、左サイド側から巻いて打つインカーブシュートの形は、ほとんどない。強烈なストレートボールか、あるいは、そこからアウトスライスするシュートを得意とする。自分の形をハッキリと持っているストライカーであり、その点にも、努力の足跡が感じられる。

試合中にリラックスしていることも、シュート精度を高める要因のひとつだ。

対談の中で、大久保嘉人は試合中に、相手DFに対して口三味線を仕掛けていることを明かした。「ここスペース空いてるぞ」、「ここ憲剛さん入って来るけど大丈夫?」と話しかけ、そのDFが食いついたら、裏のスペースを取ってしまう。

そんな話術の駆け引きを、「すげー楽しい」と、大久保は無邪気に語る。おそらくは実際に引っかかったかどうかよりも、そんな口三味線を仕掛けられるほど、リラックスして、試合に挑めていることが重要なのだろう。

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大久保嘉人にシュートの落ち着きをもたらす、2つのポイント。シュート練習を欠かさず、不安を取り除くこと。そして、リラックスして試合の駆け引きを楽しむこと。

Jリーグ史上初となる3年連続の得点王が生まれた背景は、そんなところにあるのではないか。

サッカーライター
清水 英斗

清水 英斗

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。新著『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』。既刊は「サッカーDF&GK練習メニュー100」「居酒屋サッカー論」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材に出かけた際には現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。

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